【85dBは嘘】音楽は何dBで聴くべき?

2026年6月21日 (更新: 2026年6月21日)
おおさか
おおさか
総合 21 2,205pt
当サイトはアフィリエイト広告・PRを含みます
BLOG

ブログ

皆さんは何dBで音楽を聴いていますか?

私はとある動画で85dBが良いと聞いたことがありましたが、耳の中の音圧を計測するすべがなかったのでまあ85dBくらいで普段聴いているんだろうと思っていました。

先日、Sony WF-1000XM5を入手して

gadgeteer.jp
リンクカード
gadgeteer.jp

アプリの機能で現在流れている曲の音圧が分かるんです。それがこちら

低くね?

これでも結構大きめだと思ってました。で、この表示が85dBになるまで音圧を上げていくと...

耳が壊れるわ!

いやこれ、絶対85dBが理想はおかしいと思い、音響界でもトップレベルで権威のある専門書

『Sound Reproduction』

『Loudspeaker and Headphone Handbook』

『Acoustics Sound Fields and Transducers』

から、本当に85dBは音楽鑑賞に適した音圧なのか音楽鑑賞に適した音圧は何dBかを調べましたので、共有させていただきたいと思います。

人間が好む音圧は85dBではない

『Sound Reproduction』48ページにはこのような記述があります。

【日本語訳】

「最近の調査によると、一般的なテレビのダイアログ(セリフ)は、典型的な家庭環境においては平均58 dBAで満足のいくレベルとなるが、ホームシアター環境では65 dBAとなることが判明した。ホームシアターにおいて、異なるリスナーが表明した好みのレベルは約55から75 dBAの範囲に及んだ(Benjamin, 2004)。多種多様な音源素材を用いて、Dashら(2012)は、好まれる音量レベルの中央値が62 dB SPLL(ITU-R BS.1770の重み付けを使用。B特性またはC特性で近似可能)であると結論づけた。好まれる音量の範囲は52から71 dB SPLLであった。」

さらに、48ページから49ページにかけてこのような記述もあります。

【日本語訳】(Cinemas are...から)

「映画館は0 dBの基準を85 dB(Cウェイト)としてキャリブレーションされており、サウンドトラックの20 dBのヘッドルームを考慮すると、フロントの各チャンネルで105 dBのピーク音圧レベルが許容される。映画館において、これは非常に大きな音になり得る。低域効果(LFE)チャンネルの出力はさらに高くなる可能性があるため、この合わさった音の持続的なレベルが一部の人々にとって不快であることは驚くべきことではない。」

【日本語訳】(...such a theater.まで)

「これと同じキャリブレーションプロセスが、多くのホームシアターの設置でも使用されている。多く(あるいは大多数)のリスナーは、「0」のボリューム設定で再生される映画を、不快なほど大きすぎると感じている。私が担当するCEDIA(カスタム電子設計・設置協会)のクラスに参加するホームシアターの設計者や設置業者は、彼らの顧客が映画を−10 dBかそれ以下の音量で再生していると日常的に報告していた。これは電力において10分の1への減少であり、そうしたシアターに設備を導入する際の重大なコスト要因となる。」

これらから何が言えるか

これらの記述から、音響物理学と人間の心理音響学的な事実に基づくならば、85 dBという過大な音量設定は聴覚的苦痛をもたらすだけであり、リスナーが自らの耳を守り、かつ快適に音楽を聴くためにボリュームを-10 dB以下(55〜75 dBの範囲)に下げる行為こそが、科学的に最も合理的な判断であると言えます。

音量を下げるとS/Nが不利?

65dBほどの音量で音楽を再生すると部屋の環境音を30dBとして、信号対雑音比(S/N)が35dBしかないから音質が悪いと主張されることがあります。しかし、その信号対雑音比35dBは不十分なのでしょうか。

『Loudspeaker and Headphone Handbook』450ページには次の記述があります。

【日本語訳】(optimum intelligibility.まで)

「屋内および屋外の両システムにおいて音声の明瞭度に影響を与えるもう一つの主要な要因は、周囲の背景ノイズレベルによって生じるマスキングである。これは音声の信号対雑音比(S/N比)を低下させる。理想的には、最適な明瞭度を確保するために25 dBの信号対雑音比が必要とされる。」

さらに、『Acoustics Sound Fields and Transducers』477ページには次の記述があります。

【日本語訳】(For speech...から)

「スピーチ(音声)の場合、クレストファクター(最大ピーク音圧レベルと平均RMS音圧レベルの差)は約13 dBである。音楽の場合は約20 dBである。」

これらから何が言えるか

これらの記述から、35dBの信号対雑音比が確保されているという事実は、「音楽のディテールとダイナミクスを認知するために、十分な信号対雑音比である」ということを示しています。

85dBは聴覚上害がないのか

85dBでも聴覚上害がないと主張される際、WHOや各機関が公表している

このような表が根拠となります。

しかしここに大きな落とし穴があります。

『Sound Reproduction』443-444ページには次の記述があります。

【日本語訳】

「既存の国内および国際基準において考慮されている唯一の基準は、言葉を理解する能力の保存であるということを知っておくことが不可欠です。OSHAやNIOSHなどの職業的騒音ばく露基準は、製造業やその他の産業労働者のために作成されたものであり、その目標は聴力損失を防ぐことではなく、労働寿命の終わりに1メートルの距離での会話が可能である程度に(聴力を)保存することでした。重大な種類の永久的なダメージは避けられません。ハイファイな聴力、つまり批判的聴取能力は保存されないのです。」

つまり何が言えるかというと、WHOなどが出している騒音ばく露基準は

「難聴にならないための目安」であって、「絶対に耳が悪くならないと保証するものではない」ということです。

ノイズキャンセリングで解決?

屋外など、騒音環境下ではノイズキャンセリングは非常に有用です。しかし、静かな屋内で信号対雑音比を稼ぐためにノイズキャンセリングを使うのは逆効果でしょう。ノイズキャンセリングには、多かれ少なかれ可聴なホワイトノイズが生じます。それはほとんどの場合で部屋のノイズ-ノイズキャンセリングなしのパッシブ遮音よりも大きくなるでしょう。

まとめ

85dBで音楽を聴くというのは、音響的にメリットが一切なく、むしろ聴覚を不可逆的に破壊しうる行為です。客観的な適正音量の中央値は62dBであり、一般的な暗騒音30dBの室内において65dBで再生すれば、音楽のディテールを完全に認識するために必要な信号対雑音比25dBを大幅に上回る35dBのマージンが確保されます。国際的な騒音ばく露基準の85dBは日常会話を辛うじて維持するための極めて低い防衛ラインに過ぎず、ハイファイな聴取能力は確実に破壊されうります。静かな室内でのノイズキャンセリングの常用も、機器の残留ノイズにより信号対雑音比を悪化させる場合が多いです。最高の音質を享受するためには、部屋の雑音に合わせて25dB以上の信号対雑音比がとれる55〜75dBの適正音量で再生し、自らの耳を不可逆的な破壊から守り抜くことであると考えます。

Gadgeteer for Windows
Facebook LINE B! はてな RSS
LIKE

いいね (3件)

TALK

コメント (1件)

吉田製作所【管理人】
たぶん、音質を気にし過ぎないのが一番音質が良い気がします
NEXT

前後の記事

MORE

関連レビュー